「彫り進み版画」は、1つの木版を使い、彫りの過程で色を変えながら同じ紙に何度か刷りとっていく多色刷りの技法です。彫り取った部分にはインクが付かないので、刷った色が残り、彫っていない部分は次のインクが重ねられるため別の色になる。これを繰り返すことで、多色を表現します。この木版画の多色刷り技法をコンピュータを使って再現してみました。

高学年平面作品-コンピュータを使った「彫り進み版画」

作品イメージ
【準備物】
下描き用用紙A3 トレーシングペーパーA3
Paintshop Proで彫り進み版画-授業編

【制作手順-10時間 対象-6年生 使用ソフト- JascSoftware Paintshop Pro 】
1.下描きする。
2.下絵をトレーシングペーパーに油性マーカー(ネームペン等)で写し取る
3.教師がスキャンしてデジタル化、背景の作成と線の透明化、線以外を黄色く着色をする。
4.白くしたい部分をペンタブレットと消しゴムツールで削っていく。
5.レイヤー1をコピーしてレイヤー2を作成し、レイヤー2の色を変化させる。
6.黄色くしたい部分を消しゴムツールで削っていく。
7.コピーして、色を変え、新しいレイヤーを削っていくという作業を必要な色の数だけ繰り返す。
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制作過程写真解説


下絵をトレーシングペーパーでトレース

スキャナで取り込み

線を透明にして線以外を着色
  

白くしたい部分を消しゴムツールで削る

黄色のレイヤーをコピーして色を変える

削ったところが下の色(黄色になる)

画像の重なり

作品の色の重なり方

背景の白を含め5色のレイヤーが重なった状態

完成作品

完成作品

完成作品

補足説明

・コンピュータのレイヤー機能を利用することで、上の画像を一部消して下の画像を出し、形や色を表現することができる。 その仕組みを利用して、コンピュータ上でスクラッチを試みたのがコンピュータでスクラッチ「削って表そう」であるが、 この手法をさらに進めたのがこの題材である。削って下の色を出し、少しずつ削る場所を多くして違う色の画像を重ねることで、 彫り進み多色版画のような表現ができる。
・下絵をスキャナで取り込むのは、コンピュータではじめから絵を描くのが難しいからである。 トレースするのは、消しゴムのあとなどが取り込まれないようにするためである。 この題材は、色を流し込む作業がないので、線を閉じて部屋を作る必要はない。 ・最も教師の手を必要とするところが、スキャナで絵を取り込みそれを削ることができるように準備をすることである。 手順は、白の背景レイヤーを作り、その上にスキャンした線画を配置、線の部分を選択して削除して線を透明化する。 その上で、線以外の部分を白以外の色で着色する。これをレイヤー保持のまま保存するという流れである。 この手順を彫り進み版画準備編というテキストにしてあるので参照されたい。ソフトのバージョンや種類によって違いはあるが、 参考にはなると思う。
・レタッチソフトは、機能がたくさんあり子どもたちが扱う時、操作に迷いやすい。 そこで、この題材に必要な操作のみを説明したテキスト「Paintshop Proで彫り進み版画-授業編」という資料を作成 。これを用いて授業を行った。
・この実践は画像処理ソフトJascSoftware Paintshop Pro を使っておこなった。同様の実践は、Adobe Photoshop等でも可能である。

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