図工の授業で日常的に使われる絵の具セットであるが、どれが正しい指導法であるのか、教師を迷わすような情報が周りにあふれている。たとえば「全ての色をパレットに出し、小部屋の絵の具は洗わない」「パレットは毎回きれいに洗う」「絵の具は3原色の混色で色を作って描いた方が良い」 「12色セットより18色や24色セットの絵の具を持たせた方が良い」相反する情報が提供され混乱されている方も多いのではないだろうか。ここでは、なぜそのような相反することが言われるのかを考えながら、水彩絵の具の指導の仕方を考えていきたい。

水彩絵の具の指導方法-混色の方法

【1足す1は1(1+1=1)の色混ぜはダメ】
それでは、混色の仕方について説明しよう。私は、2色の絵の具をぐるぐる混ぜて1色を作る色混ぜを「1足す1は1(1+1=1)の色混ぜと呼んでいる。2色を使って1色を作るとは不経済極まりない。目指す混色は「1足す1が3以上になる」色の出会わせ方である。混色とは言うが、「混ぜる」と表現するとグルグル混ぜて1色にしてしまうので、「出会わせる」と表現している。2つの色を少し離れた場所に出し、どちらかの絵の具をやさしく近づけるようにして出会わせる。この時教科書通り最初は絵の具を小部屋に出しても良いが、広い部屋に絵の具を移動させた時、筆には後で移動させた絵の具がべっとりついている。これを一旦洗って筆をきれいにしてからでないと色を出会わせてはいけない。なぜなら、筆に一方の色が残っていると、その色が混ざり過ぎて一気に色が変わってしまうからである。ところで、出会わせる前に、広い部屋に出した色を塗っておくと、1+1=2まではできていることが実感できる。そして出会わせた色がここに増えることで1+1=3になるという訳だ。もちろん、出会わせてできた色は1色ではなく、場所によって似ているが微妙に違う色ができる。これらを見つけて使うことができる混色を「1足す1が3以上になる」と言っているのである。 パレットの使い方

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【タイムマシンパレット】
広い部屋に出す絵の具が2色の場合、組み合わせは1つだが、4色出すと組み合わせは6つに増える。全ての組み合わせで混色せよと言っているのではないが、必要に応じて上下や斜めの組み合わせも行うと、色数が増える。この時、どんなに混色が進んでも、最初に広い部屋に出した絵の具の色がそのまま残っているようにする。これを昔の色に戻ることのできる「タイムマシンパレット」と私は呼んでいる。この方法がいいのは、下の図のように色を足せることである。色が足せてどういいのかということだが、たとえば、最初黄色を使っていて、また黄色が使いたくなったとしよう。この時、たとえパレットに黄色の絵の具が残っていなくても、黄色の絵の具を出した場所が残っていれば、またそこに黄色を出して使える。もし、タイムマシンパレットでなかったら、別の新しい場所に絵の具を出さないといけなくなる。つまり、スペースの節約になるのだ。

タイムマシンパレット

【パレットは途中で洗わない】
スペースの節約になるということは、決められた場所に多くの色をおくことができ、結果、色の豊富な絵を描くことができる。広い部屋をグルグルまぜて、1部屋に1色しかできなければ、全ての部屋を使ってもせいぜい6から8色。これでは、いい色は塗れないだろう。さて、このスペースの節約、色数を増やす以外にもう一つの目的がある。それは、授業時間の途中にパレットを洗いに行かなくても良くなることだ。パレットを洗うのには多少なりとも時間がかかる。授業の後半にパレットを洗ってしまったら、授業の終わりにまたパレットを洗うのは面倒になって、折角洗ったのだから、汚さないでおこうと、パレットを使うことに消極的になったり、勝手に店じまいを決め込んだりする不届き物が出てくる。パレットを途中で洗うことは、学習意欲の低下につながる極めて避けたい事態なのだ。そのため、パレットのスペースを節約するというのは意欲を持続させる上でも大切なことなのである。

【筆洗バケツも途中で洗わない】
筆洗バケツもパレット同様、途中で洗いには行かない。そのためには、いつも同じ場所で筆を洗わなければならない。たとえどんなに水が汚れようが、始めに筆をつける場所は同じところ。それでは、汚い水で汚れが完全に落ちないので、すすぐ場所で洗った筆をすすぐ。筆洗バケツは部屋に区切られているので、「洗い水」「すすぎ水」(「すすぎ水2」)「付け水」というようにそれぞれの場所の役割を決めて置く。授業の終わり頃に 筆洗バケツをみれば、部屋の役割を守っているかはすぐ分かる。全ての部屋が同じように汚れていれば、毎回洗う場所を変えてしまっている。反対に洗い水がすごく汚れていて、他はきれいなままというのも良くない。つまりすすいでいないということで、汚い水のついた筆で絵の具を濁らせている可能性が高い。洗い水がすごく汚れていて、すすぎ水もすこしよごれている。付け水はきれいなままというのが、ただしい筆洗バケツの使い方である。

これまで、説明してきた絵の具セットやパレット、筆洗バケツの使い方を教室掲示用にまとめたものが、図工室、教室掲示用印刷物に掲載しているので合わせてみてほしい。


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