小学校低学年の図工指導に活かせる「はさみの使い方」

はさみの使い方基本

小学校低学年の図工の時間に子ども達に視聴させて頂くことで、基本的な技能指導ができる動画です。ここで、「はさみの使い方」を取り上げています。丁寧な解説で子ども達によくわかるように心掛けると同時に、創造的な技能が身に付けられるように考えました。

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技能習得の基本は実際に経験すること

はじめての用具を使う場面で、どのような指導をされているでしょうか。その用具がはさみやカッターナイフ、小刀といった怪我の危険があるものなら、どうしても安全を考えて教師側の指導が長くなります。それは、当然の事で、安全のないがしろにしていい授業はできないでしょう。ただ、安全面を考えなければならない用具の場合、どうしても言わなければならないことが多くなって活動時間が少なくなったり、話そうと思っていたことを言い忘れてしまったり、と慣れていないと教師側に余裕が無くなりがちです。
 そこで、安全指導や技能指導を動画視聴で行うのはいかがでしょうか。視聴した後に、不足している部分や担当している児童の実態に応じた指導を行ってください。このようにすると、必要なことを視覚的に分かりやすく伝えることができますし、教師側のも余裕が生まれます。そこで、そのような用途に使える動画を「はさみの使い方」で作ってみました。
 そのままの内容で良ければ、全部視聴するということでもいいですが、必要な箇所だけを視聴するといった使い方も可能です。
ただひとつ、授業でお使いになる場合に気を付けていただきたいことがひとつあります。それは、ひとつひとつの切り方をみんなで順に習得していくというような方法での活用はさけていただきたいことです。動画はあくまで知識とヒントとしてとらえて、視聴後は自分でいろいろ試してみるというような使い方をしていただけるとうれしいです。用具をうまく扱うためには、「習うより慣れろ」です。視聴後にたくさん紙を切る経験をして、子ども達が、はさみを思いのままに扱えるようになることを願っております。

右利き用と左利き用のはさみ

はさみには右利き用と左きき用があります。小学校の入学時に学校側で指定のはさみを用意される場合には、右利き用と左利き用をきちんと区別されていると思います。家庭で購入される場合も大丈夫でしょう。ただ、教室に置かれた集団用の用具の中からはさみを使うといった場面も想定されることから、右利き用、左利き用の見分け方だけは知っておくといいでしょう。
 右利き用は右手持った時、指の出ている方から見ると、親指で動かしている刃が手前にきます。別の言い方をすれば、紙の上に来る刃が奥にくることになるので、切っている部分が刃に隠れることなく見やすくなります。確かにこれはこれで、利き手にあったはさみを使う理由にはなりますが、見やすいか見にくいかだけではありません。実際に右利きの人が、左利き用のはさみを使うととても切りにくく感じます。これは、指の動かしかたと刃の作りが合わなくなるためです。はさみを使う時は、親指と人差し指、中指を上下に閉じたり開いたりしているだけではありません。わずかに斜めに力を加えるように指が動きます。この斜めの動きが、刃のすり合わせに影響して、利き手にあったはさみでは良く切れる方向に動きます。利き手と違うはさみでは、逆方向に力が働くのでうまくきれないのです。このようなことから、利き手にあったはさみを選ぶ事が大切になります。

はさみの使い方

はさみの先は使わないようにして切ることと紙を動かして切こと

はさみの切り方の基本は二つです。ひとつ目は、刃先を使わないことです。刃先を使うというのは、刃先が完全に閉じてしまうような使い方で、「チョッキン」いう感じでしょうか。このように切ると、切っている部分からはさみが一旦外れてしまうのできれいに切れません。加えて刃先ほど支点から離れてしまうので、強い力を必要として楽に切る事ができなくなります。はさみは、刃先を使わないつもりで、刃の奥から刃先の手前までを使って切るようにします。この切り方は、「チョキチョキ」という言葉がぴったりきます。
 はさみの切り方の基本のもうひとつは、紙を動かすことです。はさみはなるべく同じ位置で、紙の方を動かして切っていきます。(注-全くはさみの位置を変えない訳ではありません)これは、手を動かしやすい位置は狭く、手首を曲げたり腕をふっていたりすると、はさみを開いたり閉じたりするのが難しくなるからです。はさみを持った手は動かしやすい位置にして、紙の方を左右に振ったり回転させたりして切る方が安定します。ちなみに、円を切るためには、紙は360度回転します。カッターナイフで円を切ったり彫刻刀で円を彫ったりするときも、紙や板を1回転させるので共通していますね。

はさみの使い方

発想のヒントを示す

はさみの使い方の基本は上記のふたつですが、「こんな風につかうとこんなことができるよとか」「こういう場合はこうすればいいよ」とかいった発展的なことは、ある程度知らせておくといいでしょう。何から何まで教えるのは良くありませんが、教えることで発想が広がることもあります。図工で養う技能は「創造的な技能」と呼ばれます。これは、職人さんのような正確さや緻密さを習得させるような技能ではありません。頭の中のイメージを形にするためにはどんな道具をどう使えばいいのかがわかる技能です。しかし、全てを子どもの創造性に任せてしまってはあまり発想は広がりません。大人はそれまでの経験から知っているようなことも、経験がなければ乗り越えられない壁となることがよくあるからです。
 たとえば、紙を折って切るという発想はそれまでに経験した子にとっては当たり前のことでも、経験したことのない子からはまず出てきません。ところが、「紙を折って切る」ということを知れば、4つ折りにした紙を切ったらどうなるだろうかとか、2つ折りの外側を切ってもおもしろそうとか、子どもはどんどん発想を広げていくことができます。この発想を広げる元になるような情報を与えるのも教師の重要な役目だと思うのですが、どうでしょう。この発想の種は、教師から子どもへ与えられる情報だけではありません。子ども同士の鑑賞によっても発想は広がります。「〇〇さんが、おもしろいことしてる!」というような場合です。このようにして、紙を端から切っていく使い方だけではない創造的な技能の習得が可能になってくるのではないでしょうか。

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