刃物は使っているうちに、たとえ正しい使い方をしていても、切れ味はどんどん悪くなっていきます。それは彫刻刀も同様です。切れ味が悪い彫刻刀では、思うような表現が出来ずストレスになりますし、無理に力を入れればケガの要因にもなります。やはり子どもが使う彫刻刀の切れ味には注意して、サクサク彫れる用具で活動させてあげたいものです。そこでこのページでは、彫刻刀メンテナンス初級編として誰でもできる簡単な切れ味をキープする方法をご紹介します。
このページの内容を動画で
このページの内容をさらに詳しく動画で解説しています。よろしければこちらもご参照ください。
なぜ切れ味が悪くなるのか
ご存じのように刃物は刃の先端部分に近づくにつれて刃が薄くなっています。この薄くなっていることが力を刃先に集中させる、つまり切る上での絶対条件なのですが、薄いことは脆いことにつながります。この先端の部分が使っているうちにほんの少し欠けたり、丸まったりすることで、切れ味が悪くなります。
こういった刃の小さな傷はとても小さく、言ってみれば少し表面が荒れた程度です。そこで、通常の使い方をして切れ味の悪くなった彫刻刀のほとんどは、研ぐのではなく磨くだけで切れ味が復活します。

彫刻刀のメンテナンス法
EZケアー
EZケアーというのは、道刃物工業株式会社さんが開発された新しい彫刻刀専用の簡易研ぎ具で、研磨剤入りの布を使って手軽にメンテナンスできる優れものです。
EZケアーの使い方は、刃表の傾斜が布にぴったりと当たるように、彫刻刀の角度を合わせて、手前に引いて何度か繰り返しこすりだけです。刃裏は平らに仕上げられているので、布にピッタリとつけて同じように引いてこすります。

板の丸みや角度を利用することで、いろいろな刀をメンテナンスすることができます。

電動刃物研ぎ機
電動刃物研ぎ機は、彫刻刀を動かすのではなく、布の方を動かすことで刃先を整える道具です。高速に布が回転しますので、楽に手早く処理ができます。
刃先を整えるために使うのは、布バフとかフェルトバフと呼ばれる部分です。ここに研磨剤であるエメリー棒をこすりつけて、その研磨力で彫刻刀の刃を整えます。

角度に気を付けてバフに彫刻刀を押し当てるだけで切れ味が復活します。刀の形に合わせてバフへの当て方や使うバフを変えることで、いろいろな刀の刃表と刃裏に対応します。

子どもが一般的に使用しているラバーグリップの彫刻刀とこの電動刃物研ぎ機は、少し相性が悪いです。高速で回転している部分に当たると簡単にグリップ自体が削れます。そこで、このようにグリップに紙を巻き付けて研ぎ機を使うことを強くお勧めします。

それでは、まとめです。
正しい使い方をしていても切れ味は悪くなります。気持ちよく安全に活動できるように、メンテナンスして、彫刻刀の切れ味を保ちながら学習を進めていきましょう。
コメント