スポンジローラーは、小学校の図工で扱われるだけでなく、幼稚園や保育所などでもローラー遊びに活用されています。このページでは、このスポンジローラーの基礎知識とその技法を解説します。
スポンジローラーの基礎知識
ここでは、用具の基礎知識として「ローラー」「練り板」「絵の具」の3つを解説します。
ローラーの種類
図工で使われる主なローラーはゴムローラーとスポンジローラーです。ゴムローラーは版画などにインキをのせる用途に、スポンジローラーは絵の具を塗る用途に使われることが多いです。一口にスポンジローラーといっても、ウレタンフォームのものとポリエチレンフォームのものがあります。ウレタンフォームはスポンジです。台所用スポンジと同じものです。一方、ポリエチレンフォームはビート板の材質と言うとわかっていただけるでしょうか。ウレタンフォームより硬いのが特徴です。ポリエチレンフォームは球状のものと円柱形で巾の違うものが数種類販売されています。ウレタンフォームは形のバリエーションが豊富にそろっています。
取り扱いの注意点ですが、ローラーの保管方法に気を使ってください。洗って乾かしたら、購入時に付いていた紙管に入れるか、吊るして保管します。というのも、なにかに押し付けられたような状態が長く続くと、変形してしまい、きれいに色が着かなくなってしまうからです。
練り板の種類
練り板は木版画に使用するものと同じものでOKです ステンレス製とプラスチック製が販売されています。
プラスチック製は使い捨てとまでは言いませんが、ある程度使って汚くなったり悪くなったりしたら気軽に取り替えて使うイメージです。ステンレス製は丈夫で長く使えますが、プラスチック製の10倍程度の費用がかかります。
絵の具
教材としてローラー遊び用の絵の具が販売されています。これを購入されてもいいですが、子ども達が持っている絵の具セットの絵の具でも可能です。こちらを使う場合、フエキのりを絵の具と同量程度混ぜるといいでしょう。えのぐに適度な粘り気が出てローラーが滑ってしまうのを防ぐことができます。
えのぐは紙の上で重ねることも練り板の上で混ぜることもできます。色を替える時に、ローラーや練り板を洗う必要があるかどうかですが、色相の近い色なら洗わずに使っても問題ありません。全く異なる色を使う場合は洗うことになると思いますが、練り板やローラーに残っている絵の具が少なければ、多少の色の濁りを許容することで洗わずに使うこともできます。
スポンジローラーを使った表現技法
ここからは、スポンジローラーを使った技法を3つ紹介します。
ローラーで塗る
絵の具をつけたローラーを画用紙の上で転がします。違う色を練り板に出して 紙の上で色を重ねることができます。あらかじめ 練り板の上で色を混ぜておくこともできます。ローラーの転がった跡と色の重なりで面白い表現になります。
同時に2つの色をローラーの左右に付けて転がすこともできます。
ここで、ローラーを使う時に指導しておきたいことをお話します。ローラー遊びの場合は当てはまりませんが、絵画作品の背景に使う場合などは、ローラーの転がし方を指導しておくといいかもしれません。何も言わずにローラーで色をつけると紙の上に収めようとするために、写真のようになります。意識的にまわりに色を着けない場合はこれでもいいのですが、そうでない場合は、画用紙の外から転がし始めて、外に出して終わるように指導しておきましょう。
ローラーに工夫をする
ローラーに片面ダンボールやプチプチを巻き付けたり、シールを貼っておいて絵の具がつかないようにしたり、ローラーに工夫をすることで、面白い模様ができます。ウレタンフォームのローラーには、凹凸のついたものが販売されていますので、それを使っても楽しいでしょう。
ローラーステンシル版画
画用紙にシールを貼って、ローラーで色をつけます。乾いてからシールをはがすとローラーを転がす前の色が出てきます。1度だけ行って、白く抜けた部分にクレヨンなどで色を塗ってもおもしろいでしょう。「シールを貼る→ローラーで色をつける」繰り返すことで、より複雑な表現をおこなうこともできます。
スポンジローラーの使い方を動画で解説
スポンジローラーの使い方を動画で解説しました。前半は授業で子ども達に視聴させて頂くこともできるようにしています。後半では、指導者向けの情報をお伝えしています。このページの内容と重複する部分も多いのですが、実際に用具を扱っているところを見ていただくことで、さらに理解が深まるかと思います。ぜひ、ご覧下さい。
以上このページでは、スポンジローラーの基礎知識と技法を解説してきました。筆とは違った表現が可能で、使い方の工夫もいろいろできる用具ですので、いろいろな場面で活用して頂けると嬉しいです。
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