小学校図画工作で行う造形遊び、教科書を見ていると楽しく活動できそうなのに、いざ授業をしてみると児童の資質能力の向上が見られず、ただの遊び時間のような散々な結果になることがあります。
そこで、このページでは、造形遊びを行う上で起りがちな問題を取り上げ、それらを解決する方法を考えていきたいと思います。このように想定される問題を事前に考えておくことで、実際の授業に余裕を持って臨むことができると思います。
このページの内容を動画で解説
このページの内容を具体例を挙げながら動画で詳しく解説しています。文章では書ききれなかった内容も含んでいます。ぜひご覧ください。
造形遊びは何をやってもいい訳ではない
造形遊びは子どもが何をするかを考えて活動します。そのため、子どもひとりひとりの興味や感性によって、活動内容が変わっていきます。
そうは言っても、何をやってもいい訳ではありません。授業にはめあてが設定されているはずですので、そのめあてを達成しようと活動されなければなりません。ここで、全員がめあてを意識できればいいのですが、中にはそうでない子もいます。では、めあてを意識できない子は、どのようなことをしがちなのでしょうか。これを知っておくことで、指導や対処が格段にやりやすくなるはずです。
造形あそびで起こりがちな問題
勝ち負けが入る
活動しているうちに、他の子や他のグループの高さや大きさが気になり始め、少しでも高く、少しでも大きくしようと頑張ってしまうことがあります。確かに高かったり、大きかったりすることは、造形的なひとつの要素ではありますが、そこにとらわれ過ぎると、本来獲得されたであろう造形的な要素が抜け落ちてしまいます。
また、活動にゲーム要素が入ってくることで、めあてがあいまいになることがあります。作った形にものを投げ入れて、入ったら得点になるとかいったことが始まると、造形要素である色や形は関係なくなってしまいます。
主従関係ができる
グループで活動していて、活動を指示する子と作る子に役割が分かれてしまうことがあります。指示を聞くだけの状態になってしまうとその子達は活動しているように見えても、それは手足を使っているだけで、頭は使っていません。これでは、創造的に作ったり表したり、発想したりという造形遊びのめあては全く達成されません。
起こりがちな問題にどう対処するか
勝ち負けが入ることに関しては、造形遊びは、形や色やイメージなどの造形的な特徴を活かした遊びであることを最初に共通理解しておく必要があるでしょう。
主従関係を防ぐ上で一番大切な事は、安易なグループ活動をしないことでしょう。それぞれが自分の考えを言い合って、それでも協力して活動できるならグループで活動する。自分の考えが通らないことが多かったり、友達のいう通り活動することになったら、グループを離れひとりで活動する。こういったことが必要です。一旦グループで活動を始めたら、最後まで一緒にいるということではなく、表現したいことや方法によって、グループに入ったり、グループから出たりする流動性が造形遊びには不可欠だと思います。
以上のことに気をつけながら造形遊びに取り組んで頂くことで、楽しくそれでいて資質能力の向上がみられる授業ができるのではないでしょうか。
まとめ
造形遊びは
・勝ち負けが入って競争になったりゲーム化することがある
・主従関係のような役割分担ができ十分な活動ができない子ができることがある
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