図工授業で必ず起こる進度の違いにどう対処するか

早い子遅い子の指導記事

図工に携わっておられる若い先生方に困っていることをお聞きすると必ずと言っていいほどかえってくるのが、「進度の違いが大きすぎて困る」という声です。他にも、「すぐできたできたと言ってくる子がいて困る」「遅い子がいつも放課後残っている」というような声もよく聞きます。このページでは、児童間の進度の違いの対応について考えてみましょう。

作品ではなく教科の在り方に目を向けると対応が見えてくる

その子がひとりで絵を描いたり工作したりしているなら、それが早くできようが、遅かろうが、問題になりません。

決められた図工の授業時間の中で、ひとクラスの子ども達の活動をコントロールしなければいけないところに難しさがあります。多少の早い遅いがあっても、早い子が時間を持て余し過ぎず、遅い子がほとんど手つかずの状態で終わることのないような授業が教師には求められます。しかし、これはなかなか大変なことです。私自身も大変苦労しましたし、素晴らしい解決策を見つけた訳でもありません。これからお話することももしかしたらすでによくご存じのとこかもしれませんが、私なりに整理してお伝えしたいと思います。結論から言うと「作品ではなく教科の在り方に目を向けると対応が見えてくるかもしれない」ということになります。

図工はより良くする教科であることを伝えておく

この手の話は精神論のようで毛嫌いされる方もいらっしゃると思いますが、少し我慢してお付き合いください。図工は「楽しく豊かな生活を創造する態度を養う」(学習指導要領目標)教科です。楽しく豊かな生活を創造するとは生活をより良くするという意味です。

現状維持ではなく「より良くする」のが図工という教科だとすると、授業の際には、その目標に沿った授業を先生はするべきだし、子ども達もその目標を大切にしながら授業を受けるべきだと思います。

しかし実際には、いきなり工作を作ったり、絵を描いたりして、図工で大切にすることを子ども達に伝えないまま授業が進んでいく場合も多いようです。

図工で大切にする事、先生自身が大切だと思っていることを、自分の言葉で分かりやすく子ども達に伝えておくことは大事なことだと思います。私は、「図工はできたと思ってからが大切だよ。より良くするチャンスだからね。」と折に触れ、子ども達に話してきました。塗って終わり、形を作って終わりではなく、いかに工夫が入れられるかに重点が置かれていると、しっかりと課題に取り組めるようになります。

授業の心構えのようなことは説教じみていると考えて先生自身が避ける傾向にあるかもしれませんが、本質的な事を伝えておくことは大切です。そして、意外に効果もありますので、まだそんな話をしたことがないという方は、一度して試してみてください。

遅い子への対応は図工に対する考え方を変えるところから

早い子より手がかかるのは実は真面目に取り組む子だったりします。すごく丁寧に取り組んで時間が足りなくなる子がいます。このような子にはどういった対応をされているでしょうか。

ほとんどの先生が休み時間や放課後に追加の時間を作っておられるのではないでしょうか。場合によっては、遅い子が追い付くためだけの授業時間の設定も行っておられるかもしれません。その結果、多くの子ども達が読書をしている中、一部の子が絵の具で色を塗っているという図工なのか国語なのかわからない時間ができあがったりします。

遅い子に時間を与えることが必ずしもいけないことではないのですが、そうせざるを得ないのは作品至上主義に陥っているのかもしれません。

図工は作品をつくることを目的とした教科ではありません。これは指導要領にもちゃんと明記してあります。「表現及び鑑賞の活動を通して資質能力を育成する」教科です。資質能力を育成することが目的であって表現することが目的ではありません。

そう考えると図工の時間は、作品を完成させることをめざす時間ではなく、資質能力を育成する時間だということになります。休み時間や放課後、他の子が好きな本を読んでいる間に、できていないところを塗っている子の獲得する資質能力は果たしてかけている時間に見合うものなのでしょうか。必要なのは資質能力の獲得のため図工の時間の中でしっかりと表現や鑑賞の活動に取り組むことだと思うのですがどうでしょうか。

そう考えると遅い子への対応が見えてきます。まず必要なのは、遅かったら延長してもらえるという前提ではなく、時間の中で仕上げるという意識付けです。これには、題材の時間の目安をあらかじめ示しておく必要があります。子ども達の活動の様子を見てからでないと、4時間扱いにするべきなのか6時間必要なのかわからない場合もあると思います。そういった場合は、ある程度進んでからでもいいと思いますが、複数回にわたる場合は最終回までに、1回限りの題材では授業の始めに、時間の目安を伝えておく必要があるでしょう。

作品についての考え方も少し変えてみるといいのではないでしょうか。色を全て塗る必要はなく白いところがあってもいいと思いますし、一部にしか描けてないなら紙を切って小さくしてもいいと思います。工作にしてもみんなが同じ大きさのものを作る必要はないので、細かな部分に時間をかけた小さな作品ができてもいいと思います。

時間をかけてでも作品を完成させるのではなく、時間の中でできる作品を作るという発想の転換が必要ではないでしょうか。

進度の違いに万能な方法はない

ここまで早い子遅い子に対する対応の仕方を書いてきましたが、個々の子どもに対しては結局はケースバイケースで考えていかなければなりません。全体に対する指導と個人に対する指導は異なります。

すぐにできたできたと持ってくる子は実際には目標としたことができていないことも多いものです。目標としたことができるように指導したり、時にはやり直させたりすることもあるかもしれませんが、そもそもその子にとって目標が高すぎたのかもしれません。

また、一口に遅いといっても、発想の段階でつまづいているのか、技能が十分でなく遅いのかでは対応が違います。

このように個々の子どもに関してはその子の実態に合わせた指導が必要になります。しかし、上記の2つのことを心掛けるだけで、全体として進度の差で困ることは随分と少なくなるのではないでしょうか。

それではまとめです。

「時間の限り工夫する」「時間の中で仕上げる」という図工のスタイルを確立してみよう!

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