2色のインキを使い練り板の上でグラデーションを作って、それを板に載せることによってグラデーションで刷り取ることができます。グラデーションならではの華やかな印象の作品ができますが、一方で、単色での刷りとは違った注意点や手順も存在します。そこで、このページでは、グラデーションでの刷りを行う際に知っておきたい重要ポイントを解説しています。
制作方法と指導の参考になるポイントを動画で解説
このページの内容をさらに詳しく動画で解説しています。実際に作品を作っていく様子もご覧いただけます。
題材について
【用具材料】
・カラーシナ合板 標準1/2判 150×225mm
・刷り紙 16切り判 195×271mm(ひとり4枚程度)
(又はそれぞれ倍のサイズ 板が標準判225×300mm 刷り紙が8切り判でも可)
・彫刻刀 ・版画作業板(ノンスリップシート)・新聞紙
・水溶性版画インキ グループに赤と黄のように色違いで2本 →組み合わせ(赤と黄のグループ 黄と緑のグループ 緑と藍のグループ 藍と赤のグループなど)
・インキ練り板・ゴムローラー ・バレン ・インキベラ
【活動時間-4時間(標準1/2判の場合) 対象-5年6年】
1.板を彫る(2時間)
2.刷る(2時間)
【めあて】
好きな形から発想を広げ、彫りを工夫するとともに、色の組み合わせや向きを工夫して木版画に表す。
【評価】
形のつながりを意識しながら、彫りを工夫することができたか。
色の組み合わせや向きを工夫してグラデーションで刷ることを楽しめたか。
彫り
板の好きな部分に何か好きな形を彫って、その形を元にイメージを広げながら彫り進めていきます。小さな板を使うと彫りにかかる時間を短くできます。

刷り 1
2色のインキを並べるように練り板に出して、ローラーを転がすことで2色を馴染ませてグラデーションを作ります。グラデーションが出来たら、ローラーを上下に動かして板にインキを載せます。

板の左右にインキの付かない部分ができました。

この例のようにインキの付かない部分が少しだけなら、ローラーを左右に少しブレるように動かすとインキを付けることができます。

【重要ポイント1】
板の大きさとローラーの幅の関係は重要です。板の短辺とほぼ同じくらいのローラーを使うと、色を載せやすいでしょう。

きれいに刷れました

刷り 2
グラデーションの方向によっては、ローラーを少し動かすだけではインキを載せられない場合があります。

この時、インキの付いていない部分にローラーを移動させるだけでは、グラデーションに境目ができてしまいます。


【重要ポイント2】
板の下に紙を敷いておき、その紙ごと180度回転させることで境目を作らずインキを板に載せることができます。

きれいに刷れました。

補足
・この題材の対象学年は、高学年が適しています。4年生でも木版画を扱いますが、彫りと刷りがどちらも初めてですので、刷りは何色のインキを使うにしろ単色で行った方がいいと思います。
・ここで使っている板は標準1/2判というサイズの板で、刷り紙には16切り判を使っています。このサイズ、8つ切りサイズに慣れた方にとっては小さく感じられると思いますが、板が小さいと彫る時間が少なくて済みます。作品として仕上げる場合は、何枚か刷ったものを並べることで、刷りの経験を積むことができると同時に大きな作品にすることもできます。
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