この題材は、1、指導が簡単で、2、安全に活動できて、3、感性の豊かな作品ができるという3拍子そろった題材で、木版画指導の経験があまりない方にもおすすめできる題材です。
制作方法と指導の参考になるポイントを動画で解説
実際に作品を作りながら動画でポイントを詳しく解説しています。ぜひご覧下さい。
題材について
【用具材料】
墨汁 筆 版木 版画作業版(又は滑り止めシート) 彫刻刀
版画刷り紙 新聞紙等 版画インキ ローラー バレン
【活動時間-6時間 対象-4年】
1.準備-版木に墨を塗る(0.5時間)
2.彫る(4時間)
3.刷る(1.5時間)
【めあて】
好きな形から発想を広げながら彫りを工夫して木版画に表す
【評価】
好きな形から発想を広げて、工夫して木版画に表すことができたか。
準備
彫った跡がわかりやすいように板を黒くしておきます。墨汁を板に直接出して筆で広げていきます。
彫り
位置も使う彫刻刀も自由に選んで、何かひとつ好きな形を彫ります。ここでは4本の線で星の光のような形を作ってみました。
最初に作った形のそばに次に思い付いた形を彫ります。このように彫った形を元に発想を広げて、次々と形を彫っていきます。彫る場所に応じて刀をかえながら彫っていくと表現の幅が広がります。
たくさんのほりあとが集まって、大きなかたまりのように見えてきました。ほっているうちに何かの形に見えてきたら、そのイメージにさらに近づけてもいいでしょう。
刷る
練り板にインキを出して広げます。最初は向こう側から手前に一方通行でローラーを動かすといいでしょう。きれいにすり取るためには、インキの量が重要です。練り板とローラーに細いみぞが見える程度がいいでしょう。
うら表を間違えないようにして、見当紙に重ねる感じですり紙を版木にのせたら、円を書くように小さく回しながら、バレンでこすります。
一度にめくらないようにすると、薄いところがあればもう一度そこをこすることができます。
補足
・彫刻刀を使用するのが初めての場合、この題材の前に、それぞれの刀の使い方を実際に板を彫りながら知る時間が必要です。ただ、この題材の中で、彫刻刀に慣れていくことができるので、あまり時間をかけ過ぎないようにしたいものです。
・この題材は、通常の木版画に比べて説明する事が圧倒的に少なくて済むため指導が簡単です。そのため、木版画指導の経験があまりない方にもおすすめできる題材です。しかも説明する事が少ないというのは、子ども達にとってもわかりやすいということにもなります。
・この題材は下絵を描きません。彫る線が決まっていないので、自分が彫りやすい形を彫ることができます。無理をしない彫り方ができるので怪我が起こりにくく安全に活動できます。(*怪我が起こらないという訳ではないので安全指導は必要です。)
・最初に作った形から、発想が広がっていくので、子どもによってそれぞれ違った絵ができます。途中動物や鳥など、何かに見えてきたらその形に似せていくことができますし、最後まで模様のようなものでもかまいません。いずれにせよ、子ども達が思いのままに彫ることができるので、子どもの感性が発揮される作品ができます。
・版木の大きさは8つ切り画用紙程度の大きさのものが適しているでしょう。大きいと彫るのに時間がかかりますし、小さいと十分に彫刻刀に慣れることができないまま終わってしまします。
・下絵の線を描いてそこを彫る場合と違って、ここまで彫らないと終われないというものではありません。そこで、彫りの活動をそれぞれの出来上がりではなく、時間で区切ってしまうのもひとつの方法です。
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