学期末といえば、先生方を悩ませる評価、成績処理の時期です。特に図工では、評価に悩まれる方が多いように思います。そこでこのページでは、私がよく頂く評価に関するお悩みの中で、特に多いもの3つを選んで取り上げてみました。みなさんのお悩みが少しでも解消されるように、評価の考え方を詳しく解説しています。
動画で解説
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評価の妥当性
まず、ひとつめは、正しく評価する方法や客観的な評価について解説します。結論から言いますとそもそも図工で、客観的な評価は無理です。というより図工以外でも、客観的な評価ができない学習活動はたくさんあります。
客観的な評価は無理ですが、基準に基づいた評価は可能です。みなさんは、授業の初めにその時間の学習の目標を子ども達に示されると思います。そして、その目標に到達しているかどうかで評価されていると思います。何で評価するかが最初に示されていて、それに基づいて評価されるという、とてもオープンで公平なシステムだと思います。これは、評価の根拠を問われたときに、ちゃんと答えることができるということでもあります。図工で客観的な評価は無理でも、信頼性のある評価は可能です。
ところで、作品を前にどのように評価すればいいか聞かれることがあります。しかし評価するためには、学習の目標をどのように設定されたかとか、その時の子どもの活動の様子はどうだったかとか、授業者でなければわからないことがたくさん必要です。つまり評価は授業者でなければできません。
これは、もっとも信頼性のある評価をしている、もしくはできるのは、他でもない授業者であるあなたであるということを示しています。ですので、何年目だからとか、絵心がないからとか、心配しないで大丈夫です。根拠に基づいて、悩みながら行った評価が最善の評価ですので、自信を持って評価をして頂ければと思います。
評価の人数や割合
ふたつめの評価の人数や割合に話を移します。C評価ですが、目標を達成できなければC評価になりますので、付けていけないことはありません。むしろ、付けなくてはいけません。できないのにできるになっていれば、それこそ信頼性のある評価とは言えません。
ところで、評価は子どもに対するものであると同時に教師に返ってくるものでもあります。C評価の子がいたということは、その子の資質能力を伸ばすことができなかったということです。そこで、手立ては十分であったか、他に方法はなかったかなどを見つめ直す必要があります。子どもに評価して、その評価が授業改善につながるということですね。ちなみに、当初できなくても、手立てによってできるようになればC評価ではありません。
さて、評価は到達度でみますので、AやCの人数が多くても少なくても良い訳ですが、先ほどの評価が教師に返ってくるという視点で人数を考えるとちょっと違ってきます。ABCの3段階評価で、A評価がクラスの半数以上とかいう場合、資質能力の向上が目覚しくたくさんよくできる子があった場合は問題ありませんが、目標設定が低すぎて資質能力は伸びていないのに簡単にできてしまったような場合は、授業内容を見直す必要があると思います。逆にC評価が多過ぎる場合は、目標設定が高すぎたのかもしれません。このように、評価は子ども達の評価であると同時に、自分自身に対する評価でもあると考えて臨んでいただければ、ご自身にプラスになることも多いのではないでしょうか。
観点のわかりにくさ
ここからは、三つ目の観点別の評価についてお話しします。指導要領の表現をみると、技能の工夫の観点と創造的に発想や構想する観点の違いが、若干分かりにくく感じられると思います。一方は知識、技能ですが、もう一方は思考、判断、表現力で別の観点になります。にもかかわらず、「表し方を工夫して創造的に表す」のが技能で、「表したいこと、表し方などについて考え、創造的に発想や構想する」のが思考、判断、表現力になっています。文言がちょっと似ていますよね。
子どもが工夫した時に、その工夫が工夫して表した技能なのか、工夫を考えた発想力なのか迷いませんか。
上の絵の天の川ですが、青の濃淡で表現しています。えのぐの濃淡で、自分の表現したいものを表してしているので、創造的に技能を使っているといえます。だから、知識技能で評価しようということになるのですが、最初にそのようにしようと考えたのは発想力ですので、思考判断表現力で評価してもいいように思えます。このように創造的に表す技能と創造的に発想する力は、ここまでが技能でここからは発想というように分かれているのではなく、限りなく連続性のあるものです。子どもが表現している時に、いろいろな工夫が思い浮かんで活動に取り入れられてくると思いますが、そこに技能や発想といった区別はありません。
そこで、丸投げするようで申し訳ありませんが、ふたつの観点の線引きは先生方の判断で行って頂いて、評価して頂ければいいと思います。
まとめです。
1.授業者だけが、信頼性のある評価ができる
2.子どもを評価することで、自分の授業を見直すことができる
3.観点どうし密接に関連して分けられない場合もある
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