このページでは、図工でえのぐを使って絵に表す題材を行う場合、ぜひ知っておきたい重ね塗りの技法について取り上げています。色を重ねることで、混色しなくても色数の豊かな表現ができたり、全体の色調を整えたりすることができます。
制作方法と指導の参考になるポイントを動画で解説
重ね塗りを使って実際に作品を作っていく様子を動画でご覧いただけます。
題材について
【用具材料】
えのぐ 8つ切り 又は 16切り画用紙
【活動時間-2時間 対象-3年生以上】
1.背景を塗る(0.3時間)
2.線や面で形を描く(1.7時間)
【めあて】
色の重なりを感じながら、形や色を工夫して絵に表す。
【評価】
色の重なりの良さに気づくとともに、形や色を工夫して絵に表すことができたか。
重ね塗りの基礎知識
絵の具で色を塗る場合、下のようにマーカーなどで描いた線の中をひとつの色で塗ることが多いのではないでしょうか。画用紙の上に色が一層だけある状態です。こういった塗り方が良い悪いというのではありませんが、別の塗り方を経験する意味で、紙の上で色を重ねていく活動はどうでしょうか。
色を重ねると重なった部分に新しい色ができます。絵の具を混ぜなくても、色数が増えるので、色の豊かな表現が可能です。
別の特徴として、絵の具は、色を重ねれば重ねるほど、黒っぽくなってしまいます。下の例のように、同じ赤を塗っても、白い紙の上に直接色を塗った時のような鮮やかな色を表現することはできません。そのため、絵の具本来の色を味わいながら進めたい学習などには向きません。
作例
画用紙全体に色を塗っていきます。全体をひとつの色で塗ってしまってもいいですが、ここでは、もう1色を反対側から塗ることにしました。色混ぜした時のように、青と黄色が重なって緑色の部分ができています。
筆に黄緑色の絵の具を付けて、線を描いています。青色に重ねた部分は、線色が少し暗い感じになります。黄色に重ねると、線が明るく感じます。
線に沿って、三角形を並べてみました。このように、前に描いた形との関係を意識しながら描いていくと、おもしろい表現になります。
色々な色を使って描いていますが、それらの色にも初めに塗った青や黄色が重なっているので、馴染んでいるように思えます。
完成です。
補足
・重ね塗りの特徴を踏まえた上で、色を重ねて表現したいと思われる題材なら、どのような題材にでも取り入れることができると思います。また、全部でなくても一部に取り入れていくこともできます。たとえば、最初に見て頂いた魚の絵ですが、全体を塗った後に、さらに重ねて色を加えることもできます。
・作例では、背景を塗った上に線や塗り行うことで、最低でも2層の色の重なりができるようにしています。背景に2色を使うことで、その上に重なる色が下の色に影響されて、部分的に違って見える効果も期待しています。基本的に混色は行わず、チューブから出した絵の具を水加減の調節のみで使っています。
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