このページでは、小さな板に彫って、それを並べて刷ることで大きな作品になる木版画を紹介します。 彫る時間は短くて済みますし、複数回刷るので、ひとつの版で何枚も同じものを作れるという版画の良さも体験することができます。しかも、版画用紙は1枚でいいので、刷り上がった紙を乾かす場所にも困りません。このように、利点の多い木版画題材です。
(タイトルのタイル木版画というのは、タイル張りのように並べて刷り取るところから、私がそう呼んでいる名称で、一般的な呼び方ではありません。)
制作方法と指導の参考になるポイントを動画で解説
重ね塗りを使って実際に作品を作っていく様子を動画でご覧いただけます。
題材について
【用具材料】
版木(15cm×15cm程度) 版画作業版(又は滑り止めシート) 彫刻刀
版画刷り紙 新聞紙等 版画インキ ローラー バレン
【活動時間-4時間 対象-5.6年】
1.彫る(2時間)
2.刷る(2時間)
【めあて】
形や彫りを工夫しながら板を彫り、並べて刷り取って木版画に表す。
【評価】
並べて刷り取ることを考えながら、形や彫り、刷りを工夫して木版画に表すことができたか。
彫り
回転させる時、中心になる部分に目印を付けておきます。裏返してもわかるように、裏側にも印を付けます。
板は角を上下にして使います。実際に彫る場合は、板を回したり、角度を変えたり、いろいろな向きから彫ることになりますが、彫る形を考えたり、全体のバランスを見たりする時に、印を下にした形で行います。
下から上に広げていくようにして彫っていきます。時々、印を下にして、彫りを確認してください。
彫る場所や形によって彫刻刀を使い分けながら彫っていきます。
彫りが完成しました。
刷る
版木にインキをのせていきます。練り板から版木にインキを運ぶつもりで、時々ローラーを練り板に戻します。満遍なくインキがのるように、方向を変えてローラーを転がすといいでしょう。最後に一方通行で転がして板の上のインキを整えます。
最初に板に付けた印が紙の真ん中にくるようにして、インキの付いた板を刷り紙の上にのせます。
板の上からこすってもきれいに刷れないので、刷り紙が上になるようにひっくり返します。
この時、板がズレないように、両側から支えながら行うと良いでしょう。
2回目の刷りを行います。再び版木にインキを付けたら、印の位置に気を付けて、先ほど刷り取った横に板を置きます。
同様に3回目、4回目の刷りを行いましょう。
完成です。
補足
・正方形の板を角を上下にして、下から上に彫っていくことで、回転させながら刷り取ったときに、統一感のある1枚の作品にすることができます。並べた感じに仕上げる場合は、角を上下に向けて彫ったり、刷る時に板を回転させたりする必要はありません。
・4回刷ると大きくなるので、はみ出さないために、紙の真ん中に印を入れておくといいでしょう。
紙の真ん中と印を付けた板の角を合わせるようにしてインキの付いた板を紙の上に置きます。
・板を刷り取った場所の隣に置くために、板に紙をのせるのではなく、紙に板をのせています。そのためバレンでこする時、紙と板をひっくり返す必要があります。板を軽く押さえてから、表裏を支えるようにして行うといいでしょう。
・この題材は、並べて刷るのでインキの濃淡が分かりやすく、2回目が薄い場合などにインキを足すなど量の調節を学習しやすい題材です。
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