回転版画とは、正方形の板に彫刻刀で彫ったあと、版木を回転させながら刷りを重ねていく版画です。図柄が90度回転しながら重なっていきます。その時、彫りと色が重なって予想外の効果が生まれる題材です。
回転版画の題材概要
【用具材料】
版木(カラー版画べニア 450×300×4mm)
彫刻刀
カーボン紙 鉛筆 A3上質紙(アイディア・下描き用)
刷り紙(鳥ノ子紙 470×315mmを315×315mmに切ったもの)
ローラー 練り板 バレン インキ
【制作手順-8時間】
1.A3上質紙にアイディアを描く。(1時間)
2.板を正方形に切り、彫る準備ができたら彫り始める(1時間)
3.彫る(4時間)
4.刷る(2時間)
【めあて】
彫り取る部分や線の太さなどを工夫しながら彫り、回転させて刷る取る面白さを味わう
【評価】
回転させて刷ることを考えながら、彫りの変化を工夫できたか。
インキの色や組み合わせを考えて、色や模様が重なるように刷り取れたか。
回転版画の制作過程
回転版画の詳細
・板を回転させながら、色をかさねていく版画である。90度回転させて刷り取るので刷り紙や板は正方形が適している。
・回転させた時同じ位置に重なるような構図、つまり対象の構図は適さない。非対称な形で、彫り取る部分や線の太さなどに変化を付けて彫るのが良い。
・彫り取る部分はある程度必要である。彫り取る部分がないと、すべての色が重なってしまうからである。インキの色がそのまま出る部分があると色が豊かになる。
・回転版画は刷り上がりを予想しにくい版画である。上記のように非対称が良いとか変化があるほうが良いとかはあるが、あまり考え過ぎても、そのようになるかはわからない。刷ってみてどうなるかを知るような捉え方で取り組むのがいいだろう。
・通常の刷りでは、見当紙を置いてインキの付いた面を上に向けて版木を置くが、刷った所に重ねるためにインキの面を下にして板を刷り紙にのせる。
板の回転が分からなくならないために、上下左右に目印を書いておく。ここでは、「ABCD」を時計回りもしくは反時計まわりに書いておいた。1回目はAを上にして刷り紙に重ね、2回目はBを上に刷り紙にのせるといった具合である。
・刷り紙の方が、版木と同じ方向に回ってしまうと、版木を回したことにならない。刷り紙は回さず版木だけ回す必要がある。そこで、刷り紙にも上下がわかるようにしておくとよい。
・刷りのコツは、インキを付け過ぎないことである。インキが重なって、下のインキが透けてみえるような感じに重なるのがおもしろい。インキを多くし過ぎないで、バレンで力を入れて刷り取るようにする。
・色を重ねる時、濃い色に薄い色を重ねても、薄い色の本来の色が出ないので、刷りは薄い色から順に行うようにする。
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