電動糸のこぎりの指導のポイント

電動糸のこぎりの指導のポイント 基本

 小学校図画工作では5,6年生で取り扱うことになっている電動糸のこぎりですが、使うのが怖いと敬遠されている方も多いようです。また指導者が不必要に怖がっているせいで、いろいろ注意することが多くなってしまいがちな工具でもあります。そこでこのページでは、電動糸のこぎりの指導の際に、短い言葉で本質を突いた指導をする方法を解説しています。また、電動糸のこぎりが意外に安全な工具である理由と、指導の際に役立つポイントを解説しています。

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電動糸のこぎりの指導のポイントを動画で解説

このページの内容をさらに詳しく動画で解説しています。ぜひ、ご覧ください。

安全指導のポイント

 最初に、電動糸のこぎりは、比較的、安全な工具であるということを認識して頂きたいと思います。私は長年専科として高学年の図工で電動糸のこぎりを数えきれないぐらい使ってきましたが、ケガをした子はほんの数人です。しかも病院のお世話になるような大きなケガはひとりもいません。絶対にケガをしないとまでは言いませんが、ケガの発生ははさみと同じぐらいではないかと感じています。

 では、電動糸のこぎりはなぜ安全なのでしょうか。刃物でケガをする時というのは、無理に力を入れたり、滑ったりして刃先が思わぬ方向に動くときがほとんどです。しかし、電動糸のこぎりは、刃が固定されていて、その場から動くことがありません。思わぬ動きというのがまず起こらないので、ケガをすることが少ないのです。

電動糸のこぎりの刃の上下は固定されている

 ですので、電動糸のこぎりをむやみに怖がる必要はありません。指導者が不必要に怖がると、どうしてもあれこれ細かな注意が長くなって、本当は何に気を付けるべきなのかが曖昧になってしまいます。そこで、電動糸のこぎりは比較的安全な工具であると認識するところからスタートしましよう。

 そして、「切っている間は、刃から目を離さない」などの端的な言葉で安全指導を行ってみるのはいかがでしょうか。

 自分の指が切れそうなのに何もしないなんてことはありません。切れている部分を見ている限り、ケガをすることはないでしょう。電動糸のこぎりは安全な工具とはいえ、友達と喋りながらだったり、他の事に気を取られたりして、刃から目を離して切っているとケガをすることがあります。刃から目を離さないことを徹底したいものです。

技能指導のポイント

 技能指導のポイントはただただ、板を刃に対して「真っ直ぐに押す」ことに尽きます。板を真っ直ぐに押し出していくだけで、電動糸のこぎりは気持ちよくきれます。

 真っ直ぐに押すためには、まず、立つ位置が大切です。電動糸のこぎりのアームの延長線上に立ちましょう。そして板に両手を乗せてゆっくり押していきます。斜めに切る場合も斜め方向に押すのではなく、刃に対して真っ直ぐに押せるように板の向きを変えて進めます。

 電動糸のこぎりの入門としてお勧めなのが、教科書に「糸のこスイスイ」や「糸のこのドライブ」などの題名で扱われているもので、板を思いのままに切っていくものです。下描きなしで思いのままに切る時、切れるようにしか切りません。一番楽に切れる時というのは、先ほど、ポイントとして挙げた、刃に対して真っ直ぐに押している時です。板の角度を変えたり、板を回したりしても、楽に切ってさえいれば、それは正しく刃に対して真っ直ぐに押すことができているということです。

糸のこスイスイや糸のこのドライブの題材

 逆に下描きをしてしまうと、その線を切ろうとして無理に斜めに押したりしてしまいます。切れるように切ることと切りたいように切ることは別物です。

刃の付け外しの指導は不要

 さて、最後に絶対にやめてほしい指導方法についてもお話ししておきます。それは、電動糸のこぎりの導入時に刃の付け外しを教えることです。刃の付け外しをするためには、教えないといけないことが非常に多くなります。子ども達は、電動糸のこぎりが使えると楽しみにしているのに、先生の話と刃の付け外しの練習だけで、ほとんど切ることができなかったら、楽しいでしょうか?

 もし刃を曲げたり折ったりした場合は、先生が交換してあげれば済むことです。刃の付け外しを学習するのは、電動糸のこぎりに十分なれてからでも遅くはありません。

まとめ
安全指導
「切っている間は、刃から目を離さないこと」
技能指導
「刃に対して真っ直ぐに押すこと」

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