単色で刷る紙版画解説

単色で刷る紙版画基本

 小学生が低学年で行う版画に紙版画があります。紙だけで版画を経験することができるこの題材は昔から行われている定番の題材です。ただ、定番であるが故になんとなく自分なりの方法でやっていて、より効果的な方法を見逃しているという場合も多いのではないでしょうか。
 そこで、このページでは、紙版画の版の作り方から刷り方までを詳しく解説しようと思います。もしご自身が行われてきた方法と違う部分があって、それがより子ども達の資質能力を伸ばすように思われるのならぜひ実践に取り入れて頂ければと思います。

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単色で刷る紙版画を動画で詳しく解説

この動画は、前半部分を子ども達が視聴できるように構成しています。授業の導入にお使い頂くことができます。後半は指導者向けの内容です。このページの内容をより詳しく解説していますので、ぜひこちらも合わせて御覧下さい。

版を台紙ありにするか台紙なしにするか

 版を作るにあたって最初に考えておく必要のあるのが、台紙に貼るか貼らないかです。台紙に貼る場合は、版が出来上がった時点で刷り上がりの構図は決定しています。台紙に貼らない場合は、刷り取る位置を自由に変えることができるので、刷りながら構図ができていくことになります。

単色で刷る紙版画

 指導される方のお好みでどちらにするかお決め頂ければいいと思いますが、図工人のおすすめは後者の版を台紙に貼らない方法です。

 理由はふたつあって、ひとつは版が小さいので短時間で作れることです。もうひとつが、同じ版で何度も複製を作ることができるという、版画の利点を感じることができるということです。

台紙なしの欠点

 版を台紙に貼らない方法をおすすめしましたが、この方法、欠点もあります。ひとつは、時間が余計にかかることです。台紙に貼ると一度で刷り終わりますが、貼らないで何度か同じ版で刷りを繰り返すと当然時間がかかります。ただ、3回刷ると3倍の時間がかかるかというとそうではありません。なぜなら、版そのものが小さいので、1回のインキを付けたり刷ったりする時間は短時間で済むからです。

 台紙に貼らない方法のもうひとつの欠点は、刷る度にきれいな紙を下に置かないといけないことです。これによりひと手間増えて手順が複雑になりますし、資源も多く使います。ただ、次の方法である程度効率的に行うことはできます。

台紙に貼らない場合の効率的な方法

 ます、版を新聞紙など使い捨ての紙の上に準備します。3回刷る場合は、この紙を4枚重ねておきましょう。1回目のインキを付け終わったら、汚れた一番上の紙を抜き取って、2枚目の紙の上で刷ります。刷り終わったら、そのまま2枚目の紙の上でインキを付けます。以降、刷り終わった紙の上でインキを付け、汚れた紙を抜き取って刷るを繰り返します。 汚れた紙を捨てる場所を近くに作って置くと、汚れた紙を抜き取りながら、スムーズに刷りを繰り返していくことができるのではないでしょうか。

単色で刷る紙版画
単色で刷る紙版画
単色で刷る紙版画

その他の注意点

●版を作る時、段差を作りすぎるときれいに輪郭を表現できません。紙を何度も重ねたり、厚すぎる材料を使ったりする場合がそれにあたります。紙以外の材料として、布などを利用されてもいいですが、あまり厚みの無いものをお勧めします。片面ダンボールやプチプチ、毛糸やボタンなどは紙版画ではなく、ローラー遊びなどで利用されるのが良いと思います。

●練り板やローラーは片付けで洗う前にできるだけインキを減らしておきましょう。インキが練り板の上にたまっている状態なら、ヘラなどに取って、再利用できそうなら適当な容器に入れます。インキが少なければ、ローラーを新聞紙などの上で何度か転がすだけでかなりきれいにできるでしょう。

●版画インキは水溶性のものを使っていても油分がかなり含まれているので、水で洗うだけではなかなかきれいになりません。スポンジと食器洗い洗剤を使うのがお勧めです。

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