一版多色版画 徹底攻略!

一版多色版画 平面

 一版多色版画とは、彫刻刀で彫った1枚の板に水彩絵の具を塗って、それを刷り取っていく版画のことです。水彩絵の具で手軽に刷りを行うことができるため、学校の授業でも人気の高い版画技法です。

 このページでは、一版多色版画の制作のポイントから、指導する上で知っておきたいメリット・デメリットまで、徹底的に解説します。

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制作過程とポイントを動画で解説

 このページの内容をさらに詳しく動画で解説しています。実際に版画を制作していく様子や、絵の具の水分量、リカバリーの方法などもご覧いただけます。

彫りの準備と彫りの活動

 まず、版木をアクリル絵の具の黒で塗っておきます。黒くしておくことで、彫り跡がわかりやすくなると同時に、刷り紙の色(黒)と同じになって刷り上がりの色の感じが掴みやすくなります。水彩絵の具ではなくアクリル絵の具を使うのは、刷る際に黒が溶けて水彩絵の具と混ざらないようにするためです。

一版多色版画

 次に下絵を描き、板に転写します。版画は刷ると左右が逆になるため、トレーシングペーパーを使うと便利です。板の上にトレーシングペーパーを裏返して乗せ、間にカーボン紙を挟んでボールペン等でなぞって転写します。

 転写ができたら彫刻刀で彫っていきます。一版多色版画は、彫っていない部分に色を乗せて刷る版画であり、彫り取った部分が輪郭線として残ります。そのため、三角刀などを中心に使った線彫りが適しています。

一版多色版画

刷りの準備と刷りのポイント

 刷り紙を板に固定します。板の上下の幅と同じで、左右が広い色画用紙(黒など)を用意し、板の端に合わせて紙を折り返します。一度紙を外してしっかりと折り目をつけ、板の側面にぴったりくっつくようにテープで固定するのが、版画のズレを防ぐ重要なポイントです。

一版多色版画

 刷る際は、水彩絵の具の水を少なめにし、少し硬めの状態で塗ります。一部に色を乗せたら紙を重ね、バレンで円を描くようにこすって刷り取ります。紙の色が黒の場合、使う色に白を混ぜて塗ることで、紙の色に負けずにきれいに発色させることができます。

一版多色版画

 絵の具が薄かったり、うまく刷れなかったりした場合は、後から絵の具を足して簡単にやり直すことができます。また、一度刷った色の上に別の色を重ねたり、少しずつ色を変えてグラデーションを作ったりと、多彩な表現が可能です。

一版多色版画のメリット・デメリット

 最後に、題材選びや指導計画の参考として、一版多色版画の長所と短所を整理します。

メリット

1. 特別な道具が不要
版画インクやローラーなどが不要で、手持ちの水彩絵の具と筆だけで手軽に取り組めます。
2. 準備や片付けが楽
インクを使わないため、衣服や教室が汚れる心配が少なく、水道での片付けも短時間で済みます。
3. 失敗が少ない
水加減と紙の固定さえ気をつければ、部分ごとに確認しながら刷れるため、確実な成果が得やすいです。
4. 短時間で彫れる
輪郭線を彫る「線彫り」が中心となるため、彫りにかかる時間が短くて済みます。

デメリット

1. 複数枚刷れない
一箇所ずつ絵の具を塗って刷り取るため、同じ作品を何枚も複製することには向きません。
2. 大きな作品が難しい
水彩絵の具が乾燥してしまうため、広い面積を一度に塗ることができず、板のサイズが大きくなると多大な時間がかかります。
3. 彫りの経験が少ない
線彫りが中心になるため、様々な種類の彫刻刀による彫り跡の違いを楽しむなど、彫りの奥深さを追求する学習にはやや不向きです。

 これらの特徴を踏まえ、子どもたちの実態やつけたい力に合わせて、一版多色版画を題材の候補として検討してみてください。

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