美術鑑賞授業が楽しくなる3つのヒント

鑑賞授業 記事

  図工の時間の鑑賞は、自分の作品や友達の作品を創作活動の中で鑑賞することがほとんどで、美術作品を取り上げて鑑賞だけを行うというのは、とても限られています。ただ、限られた時間だからこそ、楽しく効果的に行いたいものです。そこで、このページでは美術作品の鑑賞にスポットを当てて、楽しい鑑賞の授業にするためのヒントを3つお伝えしたいと思います。

スポンサーリンク

このページの内容を動画で解説

 このページの内容を動画で解説しています。実際にクイズを体験して頂く構成にしています。また、このページで取り上げられなかったクイズ例を始め、動画だけの情報もありますので、ぜひご覧ください。

1.クイズ要素を入れる

 「作品をよく見てみましょう。」と言うのではなく、クイズ形式にすることで自然とよく見ることができるようになります。たとえば、次のようなクイズはどうでしょう。

鑑賞授業

 答えは3の「王の悲しみ」です。この絵はアンリ・マティスというフランスの画家の作品です。でも、このクイズ、正解かどうかはあまり重要ではありません。

 この部分の黄色い物はカーニバルの紙吹雪なのだろうか、不思議な形は夢の形だからなのかとか、正解を導くためにいろいろと考えをめぐらして頂くことが大切でした。

そして、作品について考えることは、正解を知ったら終わりではありません。むしろ、より活発になる場合があります。先ほどの例だと、この絵がなぜ王の悲しみなのかという視点で絵をもう一度見てみると、見えてくるものがたくさんあります。

 背景の青い色は悲しみを表現しているのかもしれないとか、悲しみを紛らわすための音楽と踊りなのかもしれないとか、楽器を手にしているこの人物こそ服の模様から王ではないかとかいろいろ考えられるようになります。

2.遊びの要素を入れる

 アートカードを使うと簡単に楽しい鑑賞ができます。 アートカードとは、美術作品の写真をトランプのようなカード状にしたもので、数十枚が1セットになっているものです。いろいろな美術作品が収録されていますので、見るだけでも楽しいですが、トランプゲームのようにそれを使って遊ぶこともできます。

鑑賞授業

 アートカードの中に一緒に収められている解説書の中に、ゲーム例が提示されていることも多いので、一度ご覧になることをお勧めします。

 アートカードの入手方法

 アートカードは、教科書の指導書をお持ちであれば、その中に入っています。指導書は読まれてもアートカードは手つかずという場合も多いようですが、折角指導書にセットされているので、ぜひ活用なさってください。

 指導書がない場合、アートカードを借りたり購入したりすることもできます。美術館では収蔵品を中心に独自のアートカードを販売しているところもあります。国立美術館アートカードは、送料の負担だけで、学校などへ貸し出す取り組みも行っていますので、興味がある方は問い合わせをされるといいでしょう。ミュージアムショップでは、購入も可能で、近くに国立美術館がない場合は、郵送購入という方法もあります。

3.体をつかう

 美術館の中には、作品に触れて鑑賞できる企画やプログラムを行っているところもあります。彫刻などに触れて鑑賞できるのは、見るだけの鑑賞と違って非常に貴重な経験です。もし、お近くの美術館がそのようなプログラムをお持ちでしたら、ぜひ美術館と連携した鑑賞をお考え頂ければと思います。

 どの学校でもできる「体を使った鑑賞」は、教科書にも取り上げられている、美術作品と同じポーズを取るというそれこそ体を使った鑑賞方法です。作品と同じ構図にするためには、その作品の形がどうなっているかをよく観察する必要があります。ポーズを取る人を見ながら、手をもう少し高く挙げてとか、顔を右に向けてとか指示することで、自然と作品鑑賞ができる仕組みです。

鑑賞授業

 他にも、ひとりが作品を見ながらその特徴を言葉で、見ていないもうひとりに説明するという「耳を使う」鑑賞もあります。ゴッホの「アルルの画家の寝室」を例に取ると「部屋の様子です」「部屋は広がっています」「右側にベッドがあります」「イスは不良品かもしれません」などど見て思ったことを伝えていきます。絵を見ていない子は、どんな絵なのだろうと想像を膨らませますよね。こうした活動の後、目にする絵は、何気なく見る絵とはまた違った印象を与えるでしょう。説明する子も、見たこと感じたことを言葉にするので、細部に渡って絵を観察することになります。

鑑賞授業

 このように言葉で説明を受けながらその絵を想像するという活動を交代で繰り返していきます。1対1でも複数対複数でもできますね。

ひと工夫で楽しい鑑賞の時間に

 美術作品の鑑賞は、自分や友達の作品の中からだけでは得られない刺激を受けることができます。しかし、ただよく見ることだけを子ども達に強いることになっても、興味が持続しないでしょう。鑑賞が楽しくなるようなひと工夫を入れることで、自然と美術作品に親しむことができるのではないでしょうか。

 このページで紹介した方法以外にもアイデア次第で、いろいろな活動が考えられると思います。ぜひ、子ども達が楽しく鑑賞できる工夫を入れながら授業を行ってみてください。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました