図工の授業がうまくいく5つのコツ

図工の授業がうまくいくコツ 記事

 みなさんの中にも、図工の授業に自信が持てないとか、図工の授業は何をどうしたらいいのかよくわからないとか思われている方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、このページでは、そんな先生が無理なく取り組めて効果的なことを5つに絞ってお伝えしたいと思います。

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おおらかに構える

 図工は、子ども達が教師の予想を超えてくるところに面白さがあります。教師が想定していないことを子どもがやりたがったり、やり始めたりした時に、それをどれだけ許容できるかで授業の質が変わります。先生が敷いたレールの上をなぞるような授業で創造的な表現活動は難しいでしょう。

 子ども達が自分の考えで表現を試したり、新しい表現に取り組んだりさせるためには、教師はあまりきっちりと固めすぎず、多少予想外のことでも受け入れられるおおらかさがある方が良い結果をもたらすと思います。

図工の授業がうまくいくコツ

作品を重視しすぎない

 作品作りは図工の主な活動ですが、指導要領に表現および鑑賞となっているように、作品作りは表現のひとつに過ぎません。造形遊びのように作品のできない活動もありますし、絵や立体に表すときも、作品にならないでも資質能力が伸ばせる場合があります。

 作品をあまり重視すると2つの弊害が生まれます。ひとつは、作品作りが目的化することです。教材キットを購入して、それを完成させることで図工ができた気がするかもしれませんが、本来の図工のあるべき姿とは違っています。キットは完成したけれど、肝心の発想や構想の能力があまり使えていなかったり、創造的な技能が発揮されなかったりしたら、図工の授業としては不十分だということですね。

 作品を重視するもうひとつの弊害は、上手な作品にしようと先生が頑張ってしまうことです。見栄えのいい作品を題材に選んだり、作品の作り方や描き方をいろいろ指示したりする場合がそうです。先生の作品への思いが強いほど、子どもの自由はなくなってしまいます。図工の時間でいつも作品を作ろうとしないで、「作品にならなくてもいいからこんな活動をさせてみよう」という感じで図工に望むのもいいと思います。

技能を重視しすぎない

 図工では、絵の具や彫刻刀、のこぎりやかなづちなどいろいろな用具を使います。これらを安全に扱うために基本的な技能の習得が必要です。そして技能が高いほど、イメージしたものを表現する際に的確に表現できます。

 しかし、技能を追求しすぎると今度は悪影響の方が大きくなります。繰り返し同じ技能を使うことでその技能は向上しますが、飽きたり嫌になったりするほど繰り返す時間は図工にはありません。繰り返しのせいで、別の資質能力を伸ばす時間が削られてしまわないようにする必要があります。

 子ども達の中には、器用で丁寧な子、いわゆる上手な子が何人かいます。これはこれですばらしいことですが、全ての子にこの子達と同じ資質能力を身に付けさせることはできませんし、そうすることに大きな意味があるとも思えません。図工は画家やデザイナーのような芸術分野で活躍する人材を育てる教科ではなく、生涯にわたって形や色に関心を持ち生活を豊かなものにできる基礎を育てる教科です。基本的な技能を身に付けたら、より高度な技能を身に付ける方向ではなく、技能を工夫しながら使える力、つまり創造的な技能を身に付けられるように考えていきましょう。

図工の授業がうまくいくコツ

選択肢を増やす

 子ども達が創造的に工夫や発想ができるようにするためには、思考の場面が必要です。この思考の機会のひとつに「選択する」があります。画用紙の向きを教師が縦書きと決めてしまうより、縦、横を子どもが選ぶことで考える機会がひとつ増えます。色を塗る用具を筆だけにするより、ハケやブラシやスポンジなども使えるほうが、用具を選んだり組み合わせたりして工夫ができます。

 ただ、たくさん用意するだけが選択肢を増やすことではありません。あえて筆だけを使って、いろいろな技法を試させることもできます。これは用具を限定していますが、筆の使い方の選択肢を広げることになっています。授業計画を考える時に、子ども達が選んだり組み合わせたりする場面を増やせないか考えてみることはとてもいいことです。その結果、増やせそうなら増やせばいいですし、難しそうなら無理に増す必要はありません。ただ、選択肢を増やせないか考えることは、先生の授業力を高めていくのにも役立つはずです。

教科書をよく見る

 これまで、あげた4つのことに気をつけながら授業をするとして、ではどんな題材を行えばいいのでしょうか。それは、教科書の中から探しましょう。

 教科書をよく見ていただくと、魅力的な題材に溢れていることに気が付きます。図工の教科書に取り上げられている制作風景や作品の写真は、子どもらしい工夫や表現が捉えられています。これらに物足りなさを感じられる場合は、上手い下手という物の見方にとらわれているのかもしれません。図工で教師が大切にしなければいけないのは、大人が上手いと思う絵ではなく、子どもの時期だからこそできる表現です。子どもに大人の表現を押し付けないためは、教科書をしっかりと見るのが一番だと思います。

どこかの作品展で出品されていた作品やネットで見た作品を気に入って、こんな作品を作らせたいとか思って授業されることもあるでしょう。その場合は、本当にその作品を作ることで必要な資質能力を伸ばすことができるのかとか、子ども達の発達段階に適しているのかとかいろいろ考える必要があります。そういった事を的確に判断できる方以外は、あえて教科書から離れられないことをお勧めします。

図工の授業がうまくいく5つのコツを動画で解説

 このページの内容は動画でもお伝えしています。

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