彫刻刀 できない子をつくらないとっておきのコツ

彫刻刀のコツ 基本

 小学校図画工作の3・4年下から教科書に出てくる用具の彫刻刀。この彫刻刀、使える方にとっては特にコツを意識しなくても彫れてしまうのですが、初めて使う子どもの中には、どうしても上手く彫れなくて苦労する子が出てきます。そこで、このページでは、使用頻度の高い三角刀と丸刀を取り上げて、板が彫れている時の彫刻刀の角度に焦点をあてながら上手く彫るコツを解説します。

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できている人がコツをつたえるのは実は難しい

 自転車に乗るコツを自転車に初めて乗る人に伝える場面を想定してみてください。それは、意外に難しいのではないでしょうか。自転車に初めて乗る時はとても苦労したのに、乗れるようになってしまうとどこにどんなコツがあるのか説明できないですよね。

 彫刻刀のコツもそれとよく似ています。扱える人にとっては、普通に彫れてしまうので、特にコツらしいコツに思い当たらないという人も多いのではないでしょうか。

彫刻刀でうまく彫るポイントは「角度」

 彫刻刀が板に入った状態からそのまま進むとどんどん深く入っていってしまいます。これでは、ある程度のところで進めなくなります。彫刻刀が、深く入り込まないようにするためには、刃の先端の角度と板の角度が平行である必要があります。しかし、この状態では、刃が板の上を滑るだけで、彫ることができません。

彫刻刀のコツ

角度が微妙に変わって彫れる

 実は彫刻刀で上手く彫れている時というのは、板に刃を入れる時と板の中を進む時に微妙に角度が変わっています。厳密には彫り終わる時にも、もう一段階角度が変わります。ただし、彫っていると段々と浅くなって、角度を変えなくても彫り終わりになることがあります。

 いずれにしても、板に刃が入ったら、さらに彫刻刀を寝かせる必要があります。これが出来ているかいないかで、上手く彫れるかそうでないかが分かれます。

 彫刻刀のコツは「キュッ、ストン、スーッ」

 この動きを言葉で表現すると、「キュッ」と板に差し込んで、「ストン」と柄を下げて、「スーッ」と彫っていくという感じでしょうか。ただ、実際の彫りの動きはなめらかに角度が変わり、「キュッ、ストン、スーッ」というような分解的な動きになるわけではありません。

彫刻刀のコツ

 これは、三角刀の場合ですが、丸刀も見ておきましょう。丸刀は、長く彫るのに適さないので、短い間で彫刻刀の角度が変わります。板をえぐるように曲線を描くような動きになります。でもこれは、三角刀と別の動きではなく、三角刀の動きの短縮形です。そのため指導の際の順番は、三角刀を使ってみてから、丸刀に移るとやりやすいと思います。

彫刻刀は自然と角度が変化する作りになっている

 ちなみに彫刻刀は、片側だけを砥いで刃に仕上げている片刃の刃物です。ですので、刃の先端は刃全体に対して幾分角度がついています。

 この角度のお陰で、押した方向に対して斜め上向きに切る力が働きます。つまり、前に押すと自然と刃が上に向こうとします。これは言い換えると彫刻刀の角度が浅くなるように動くということになります。

彫刻刀のコツ

 ですから、実際の指導の際は、あまり細かいことを言い過ぎずに、さらりと説明したら、実際に彫ってみて体で覚えるようにするといいでしょう。

指導の際のポイントは

 先生方は彫刻刀の角度を意識していると、子どもがどこでつまずいているかが見えやすくなります。引っ掻いたような細い線しか彫れない場合は、板に刃を差し込めていないのが原因です。三角刀で長い線が彫れないのは、彫刻刀の角度を変えないでどんどん深く入り込んでしまっているか、逆に、角度を変え過ぎて、すぐに彫り終わってしまうかのどちらかです。

 彫刻刀が上手く使えているかそうでないかは、彫り跡をみてもわかります。三角刀にしても丸刀にしても、始点と終点のどちらもが、自然に細くなっているのが、上手く彫れている証拠です。深く入り込みすぎた場合は、途中で途切れたような逆三角形の形になっています。途中で彫刻刀が進まなくなり、むりやり刃を持ち上げることで、板が割れてこのような形になります。

彫刻刀のコツ
彫刻刀のコツ

上手く彫るためのコツを動画で解説

 動画ではわかりやすくアニメーションを使って彫刻刀の動きを解説しています。また、実際に私がこれまで行ってきた彫刻刀の指導方法も取り上げていますので、ぜひ御覧下さい。

まとめ
・上手く彫れているときは板に入る時と進む時で角度が変わっている
・上手く彫れない子には彫刻刀の角度に注目して指導する

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