電動糸のこぎりで版木を3つか4つの好きな形に切ります。そのうちのひとつを彫刻刀で彫って、パズルをつなげるように、次の板をくっつけて続きを彫ります。板の形から着想を得ながら、彫る形や模様が広がっていきます。刷りでは、板毎に違うインキをつけることができますので、1度の刷りで多色刷りができます。ここでは、単色とグラデーションの二つの刷りを行いました。
パズル木版の題材概要
【用具材料】
版画用カラーシナベニア彫刻刀 セロハンテープ
刷り紙 (ひとり2枚から3枚-見当紙含む)
版画インキ
版画ローラー 練り板 バレン
【制作手順-11時間(注)】
1.電動糸のこりぎで板を3つか4つに分ける(1時間)
2.彫る(5時間)
3.単色で刷る(2時間)
4.グラデーションで刷る(2時間)
5.色画用紙に貼り、周りに飾りを付ける(1時間)
(注)刷りの時間をそれぞれ2時間取っているが、40人が全員刷り始めてから後片付けを終える時間を示している。ひとりの刷りには10~15分程度しかかからないので、2つの刷りを行っても1時間以内に終えることができる。待ち時間は別の課題を行っているので実質の総時間数は8時間程度になる。
【めあて】
切った板の形からイメージを広げて、形や模様を彫刻刀で彫って木版画で表現する
色の組み合わせを考えながら、単色やグラデーションで刷る
【評価】
つながりを考えながら、彫りたい物を見つけ、彫刻刀で表現することができたか
インキの種類から刷りたい色を見つけ、組み合わせを考えながら刷ることができたか
パズル木版の制作過程
パズル木版の詳細
・最初に版木を電動糸のこぎりで切ってしまい、その切った形からイメージを広げて彫刻刀で彫っていく版画題材である。板を切ることで、取り回しが良くなると同時に、その形から彫りたい形を思い付く効果をねらったものである。
・電動糸のこぎりを使う必要があるので、前提条件として、電動糸のこぎりの基本的な使い方を学習していることが必要である。なので、高学年以上でないと難しい。パズル版画をスチレンボードで行えば、この題材と同様の刷りの効果を楽しむことができる。ただ、スチレンボードは彫刻刀で彫るには適さないので、釘でひっかいたり硬いものを押し付けたりといった、彫刻刀とは別の題材になる。
・電動糸のこぎりで版木を切る際は、3つか4つにする。多すぎると刷る際に手間が増えるのと紛失の可能性も高まる。また、複雑に切り過ぎるもの良くない。インキの付いた板を組み合わせないといけないので、押し込まないとはまらないような形は刷りが難しい。
・板を彫る際は、3つの形や模様を意識させると良い。1つ目は、「板の形から着想を得た形や模様」、2つ目は「次の板に続く形や模様」、3つ目は「そのどちらでもない形や模様」である。特に、2つ目の「次の板に続く形や模様」は、組み合わせた時、全体が1枚の絵として成立するために大切である。
・板をバラバラに彫らないことも大切である。板をそれぞれバラバラにして彫っていると、隣の板とつながりが感じられなくなる。そこで、次の板を彫る際には、彫り終えた板と裏側からセロハンテープで留めて彫るようにするとよい。ただ、完成に近づくにつれ板が大きくなり、取り回しが悪くなるので、一旦つなげてみて、彫る形や模様が決まったら、単独で彫るのも良い。
・版画インキの種類はとても限られている。そこで、インキの混色をお勧めしたい。混色は、その場で子ども達が行う方法と、あらかじめ混色したインキを教師が準備しておく方法の2つがある。
【パズル木版を動画で解説】
制作の様子や解説を下の関連動画で解説しています。
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